i.Solution研究会 12/19 Reviewコース⑤
内容:姿勢制御と歩行
テーマ:①歩き始めのメカニズム
②立脚相のメカニズム
③方向転換
④脳卒中患者の特性
歩き始めのメカニズムの紹介です。
歴史的に1979年(Mannら)の研究から始まり、現在も研究が行われている内容です。
講習会では、
①歩き始めに一度CoP(足底圧中心)が後方へ移動する
②その際、腓腹筋の筋活動が減弱し、前脛骨筋の活動が高まる(①と同時)
③その結果、重力を用いて前方への重心移動が生まれる(逆応答現象)
この3点について解説を行いました。
臨床的な意味では、歩行開始の時点ですでに歩行パターンが決められるという話をしました。CoPを後方へ移す(腓腹筋の筋活動を弱める)ためには、一度体幹の抗重力伸展活動のスチッチを入れる必要があるからです。この能力が少なければ、体幹制御を筋活動ではなく、側屈などによる質量(カウンターウエイト)で代償で行うこととなります。
脳卒中後遺症者では、麻痺側・非麻痺側下肢の降り出し時共にCoPが後方へ移動することが出来ていない報告があります(Hesseら、1997)。
後方へCoPを移動することが出来ないので、側方への移動を大きくすることで、歩行開始を代償しています。
→側方へ移動するためには「股関節内転」or「体幹側屈」での代償が出現します。
では治療は??となりますが、
個人的には後ろもたれ立位を推奨しています。
詳しくは、2016年2月のReviewコース実技編で実技練習を行っていきます。
※ 2016年に発刊予定の書籍(正常動作分析と脳卒中への臨床応用)でも紹介を行っております。
このように、歩行開始のメカニズムと姿勢制御は密接に関わっており、セラピストは姿勢制御を把握した上で治療展開を進めていく必要があります。